研究課題/領域番号 |
18580218
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
生源寺 眞一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (40196580)
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研究分担者 |
中嶋 康博 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (50202213)
塩谷 弘康 福島大学, 行政政策学類, 教授 (50250965)
木下 幸雄 岩手大学, 農学部, 准教授 (90323477)
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キーワード | 農業水利 / 貿易政策 / 多面的機能 / 農村環境 / 共同体 / 中国 |
研究概要 |
本年度は中国雲南省で追加的な調査を行った。少数民族が居住する地域での農業水利を中心にした農村資源管理の実態と課題、および急速な経済成長による農村資源利用の変化と課題の把握が中心テーマであった。 前者の調査地には昆明市の南に位置する楚雄彝族自治州を選び、同州9県のうち、南華県で複数箇所を訪問調査した。同自治州には苗族、白族など多くの少数民族がいるが、彝族が最大で約4分の1をしめる。彝族には竜を崇拝する伝統から河川周辺の森林を保護する習慣がある。農村資源管理における非経済的社会的規律の意義が改めて確認された。またそこでは水源涵養から農業利用まで受益者の下でシステムが運営されていて、水利システムの川上部分をおおむね政府が管轄するようになった日本や豪州とは異なる原初的水利ガバナンス構造として分析を進めた。 後者の調査地としては昆明市官渡区を選んだ。同区は昆明市南東部に位置し、経済成長と人口流入によりベッドタウン化し、農地も用水も転用が急速に進んでいる。また同区内にある?池は国内屈指の大湖沼であるが、急速な都市化が進展する過程で、今では上水には利用できないほどまで汚染と富栄養化が進んでしまった。この地域にとって、「汚染」は農水、工水、上水、発電に続く第5の水消費者であり、その社会的経済的影響を検証した。 以上の本年度の中国調査と前年度の検討結果を総合し、日本、中国、豪州における農業水利をめぐる課題について、特に資源配分、多面的機能、組織規律の観点を中心にしながら考察を行った。
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