食品残さの飼料化について、養豚経営を対象とした全国アンケート調査のデータを解析し、食品残さの利用が飼料費の低減をもたらしていることを確認した。また、一般的に利用されている乾燥飼料を想定して、食品残さ飼料の受容価格水準を分析したところ、市販の配合価格の約50%の水準となっていることが明らかとなった。その価格水準に関して、食品残さを飼料化している事業者の先進事例を調べたところ、ほぼ同等の価格水準となっていることが確認された。他方、食品残さの収集に関して、とりわけ逆有償の廃棄物の場合、労働の労働負担が大きいことが指摘された。 製品飼料のユーザーである畜産経営の技術体系を考慮すると乾燥飼料が主流となるため、水分量の多い原料を乾燥させるエネルギーが必要となる。また、リキッドフィーディングにおいても加熱殺菌のためのエネルギーが必要となる。そのため、バイオガスシステムを結合させ、飼料化に向かない食品残さを嫌気発酵させ、エネルギーを回収し、飼料化プロセスに仕向けるシステムが構想された。このプロセスにおいて、飼料化には抑制したい油脂分がバイオガス発生効率を高めることや、最近処理問題が顕在化している焼酎粕など食品製造・加工から排出される廃液は、水分合有率が高いために飼料化には不向きの面があるが、嫌気発酵では水分調整等に有益であるなど、飼料化とバイオガス化の両部門が補完関係にあることを指摘できた。先行事例では、必要熱量の97%をバイオガスシステムで内給できていることが明らかとなった。また、飼料化とエネルギー化の間に堆肥化へのフローを導入すると、食品残さの利用調整が容易にとなり、収益向上に結びつく可能性があることが示唆された。食料供給のうちの消費されない部分を第一に飼料化し、残りの部分を肥料化、エネルギー化に向けるバイオマスのカスケード利用がエネルギー利用と経済性を高めることが明らかになった。
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