バイオマスのカスケード利用についての事例を食品残さの飼料化を中心に探し、実態調査を行った。食品残さを収集し、飼料化に適さない部分を分別して外部で肥料化するパターンが主となっていたが、飼料化に不適な部分を外部に排出するよりも飼料と肥料化の双方を行うことで、補完関係が発現し、飼料の品質を一定に保ち効率的な再生利用ができることが明かとなった。また、飼料化に向けられない食品残さをメタン発酵させる事例も存在し、日量200-250立米のバイオガスを回収して燃料費を年間約500万円節約できることが確認された。 バイオマスリファイナリーについても事例を探し実態調査を行った。リファイナリーには、エネルギー化と副産物の付加価値販売の二つの方法があることがわかった。エネルギー化の方法として、食品残さからエタノールを回収して燃料利用する方法があげられ、焼酎粕、馬鈴薯加工屑の飼料化の事例では燃料費を約4割節約できることが明らかとなった。さらに、バイオディーゼル(BDF)を対象とした調査研究によって、菜種を食用油として利用した後に廃食用油をBDFに転換する物質循環が生み出す経済的付加価値を明らかにし、副産物利用の高度化の必要性を指摘した。ドイツでは、地域分散的なプラントを建築し、油粕は肥料化よりも飼料化して地域内で耕畜連携を形成していることが確認された。また、グリセリンについては、ドイツではバイオガス化の発酵副資材以外に精製して薬品や飼料として販売する例が増えていることが確認された。日本においては廃棄物処理が少なくないが、燃焼の助燃剤として1-2円/Kgで取引され、採算性を向上させる可能性があることが指摘できた。
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