本研究の目的は、水田農業の担い手の一形態として着目される集落営農を対象にして、その組織化と農業経営確立の活動を支援するための方策について、経営情報システム論の観点から理論的、実証的に検討し、コンピュータ利用による科学的手法を提起することにある。 研究の2年目にあたる平成19年度は、当初計画に従って次の4課題について研究を実施すると共に、最終年度として研究の取りまとめを行った。1.「集落営農」型水田作経営の諸類型、2.「集落営農」型水田作経営における経営情報システム、3.地図情報システムを活用したパソコン用ソフトウェアの開発、4.地図情報システムを活用したパソコン用ソフトウェアの現地実証試験。 1.及び2.については、初年度の研究成果をもとに、全戸参加による集落ぐるみ型の集落営農に研究対象を絞って実態調査を実施し、農業経営確立に向けて財務管理の一元化と併せて、連携する労務管理と生産管理の秩序形成が基礎となることを把握した。 3.及び4.では、研究代表者等が開発を手がけて実用段階に移行しているパソコン用ソフトウェア「水田作経営の一筆圃場管理システム」を、集落営農・K農事組合法人、K有限会社等に対して現地実証試験を実施して適応性検討を行うと共に、そこから摘出された課題点についてシステムの改良を行い、機能強化を図った。とくに、GIS用エンジンを組み込んで作図機能について大幅な改良を加えると同時に、データベースエンジンを搭載することによりデータ処理を効率化し、ソフトウェアを完成させた。
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