今日では食品の多くはパッケージに包まれた形で小売店に陳列され、消費者はパッケージの様々な属性を見ながら購買行動を行っている。このため、食品の購買行動を分析する上では食品のパッケージが消費者に及ぼす影響を的確に捉えることが必要になってきている。本研究は、パッケージの持つ様々な属性が、消費者の食品の購買行動にどのような影響を及ぼしているかを検討するものである。 今年度は、加工食品のパッケージ属性の把握と、それが購買行動へ及ぼす影響について検討した。食品のパッケージ属性の把握については、アイスクリームと納豆を対象とした。諸属性については、色調、字体、絵や写真の有無などのデザイン的な要素の他、栄養表示などの客観的情報提供の要素などに分類することができた。 これらのパッケージの属性のうち、特に、色調がもたらす影響と、商品名あるいはブランド名を示すロゴ等の字体がもたらす影響について、予備的な調査を行った。色調については、両方の商品とも赤い色調のものが評価を得たが、その理由として「見慣れているから」という回答が多く、パッケージ属性の研究を進める上で、既存の商品を見る機会が多いことによる先入観バイアスの扱いが問題となることが明らかになり、次年度への課題となった。 ロゴ等の字体については、アイスクリームの場合には既存の商品のロゴよりは繊細なデザインの字体が好まれる結果が示された。この字体は高級感を感じさせていたが、安心感を与える字体は日常的によく見る字体であり、字体の種類により、消費者が評価する点が異なることが示された。 また、近年では加工食品と同様に生鮮品も簡易な包装をして情報を付与された上で販売されていることを考慮し、生鮮品購買行動についての店頭での実験により、表示内容のみならず表示位置など、適切に情報を伝えることも重要であるという結論を得た。
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