新谷は、1999年調査と2002年調査とのインドネシア家計費調査スサナス個別結果表から作成した疑似パネルデータを用いて、ジャワ島内家計の消費行動を、消費保険仮説によって説明できるかどうかの検討を試みた。その結果は次のとおりである。 世帯主年齢と世帯主最終学歴とをキー変数としたコーホートを作成した。そして、1999年のコーホートが2002年のコーホートにつながると仮定した疑似パネルデータを作成し、消費保険仮説の検証に用いた。検証の対象を貧困家計とした場合、消費保険仮説は、都市部において受容されたが、農村部において否定された。また、検証の対象を全家計とした場合、貧困家計の場合と対照的に、消費保険仮説は、農村部において受容されたが、都市部において否定された。したがって、都市部の貧困家計の消費支出平滑化と農村部の全家計の消費支出平滑化とを消費保険仮説で説明できると結論できた。この結果は、新谷の所属する機関誌に公刊されている。なお、1996年調査と2005年調査との家計費調査スサナスの個別結果表を加えた同一の方法による検証は、現在、作業中である。 本台は、インドネシア家計費調査スサナス個別結果表の世帯当たり総消費データを利用し、1992年から2003年について23歳から75歳までについて、1歳刻みの年齢層に分解して不平等度の分析をおこなった。分析結果は次のとおりである。 人口高齢化の影響は不平等度を押し上げる結果となった。しかし、この効果はまだ小さく、1歳刻みの年齢層内の不平等度が大幅に減少したため、全体として不平等度は低下を示した。この結果は、本台の所属する機関のワーキングペーパー(ICSEAD Working Papers 2006-19)として発表されている。
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