研究概要 |
新谷は、インドネシア家計費調査(スサナス)の個別結果表を用いて、農村部と都市部との貧困家計と全家計とについて、貯蓄関数の計測を行い、各家計の貯蓄行動を明らかにした。加えて、労働供給関数との計測を試み、各家計の労働供給行動を明らかにした。なお、この労働供給行動の分析には、インドネシア中央統計局により収集公表されている労働力調査(サカナス)の調査個別結果表が用いられた。これらの分析に加えて、インドネシアの分析結果と比較するために、タイにおける2004年調査の家計調査の個別結果表を用いた分析は、現在進行中である。 本台は、スサナス個表を用い、農業から非農業への就業セクターの移動が生じる確率が、教育レベルによりどのように変化するかを計測した。この場合、就業セクター間の移動は世帯周辺の経済状況により大きく変化するため、世帯特性,世帯主特性,配偶者特性,就業状況に加えて、世帯周辺経済状況の変数を付加して計測した。これらの結果が本台の所属する機関のワーキングペーパー(ICSEAD Working Paper Series, Vol. 2008-1, 2008とICSEAD Working Paper Series, Vol. 2009-2, 2009)に発表されている。 インドネシア家計費調査(スサナス)の個別結果表を用いたこれまでの本台と新谷との研究成果が、『教育と所得格差:インドネシアにおける貧困削減に向けて』(日本評論社、2008年、10月)として上梓された。
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