研究課題
基盤研究(C)
高品位みかん生産に向けて、基礎技術となる現場レベルでの各種センシング、センシングデータのリアルタイム転送、および通信経路やデータの冗長性向上等の各種要素技術の開発を行った。和歌山県有田市のみかん園にフィールドサーバを設置し、300mほど離れている選果場との間で無線LAN通信を試みた。一般には、IEEE802.11gが用いる2.4GHzという周波数帯は水分子の吸収スペクトル領域に近いため、通信経路中に水分を多く含む生葉や果実が多い果樹園での通信には向いていないと言われるが、圃場内のフィールドサーバと建家側のアクセスポイントに高利得の指向性屋外アンテナを設置することにより、安定した通信環境を得ることを可能とした。ADSL回線が敷設された選果場と大学の間をPPTPやOpenVPNなどを用いてVPN接続することにより、安価なインターネット回線上にのぞき見や改ざんなどの不正アクセスを防ぎ、安全な通信経路を確立した。この回線を通して、フィールドサーバに接続した各種センサにより計測される気温・湿度等の気象情報、土壌水分、ネットワークカメラによるみかんの樹体画像情報をリアルタイムで収集することができるようになった。特に、デカゴン社のECHOセンサをフィールドサーバに直結することにより、みかんの糖度形成に大きな影響をもつ土壌水分量の変化を遠隔地から観測することを可能とした。さらに、みかん圃場と大学間のインターネット回線の不測の遮断による計測データの欠落を防ぐため、Linuxを内蔵する安価な市販NAS装置を改造し、現場に投入可能なローカルデータストレージサーバを開発した。これを用いることにより、観測データの冗長性を向上させ、安定したデータ収集を可能とした。
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AFITA2006 The Fifth International Conference of the Asian Federation for Information Technology in Agriculture
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