研究概要 |
基礎技術となる現場レベルでの各種センシング,センシングデータのリアルタイム転送,および通信経路やデータの冗長性向上等の各種要素技術の開発を行った。和歌山県有田市のみかん園に設置したフィールドサーバを用いて運用試験を行い,データ通信の安定性やフィールドサーバの耐久性について検証実験を行った。その結果,圃場に設置したフィールドサーバとインターネットへの中継地点となる選果場間の無線LAN通信は,前年度同様高利得の指向性屋外アンテナを設置することにより,継続して安定した通信環境が確保できたことを確認した。しかし,データ冗長性確保のためのデータストレージサーバとしてに圃場に設置したマイクロPCは,内蔵の2.5インチHDDが高温のため故障し,実験期間中にデータ収集不能な状態になっていた。このことより,夏季に高温多湿な過酷な環境となるフィールドでは,HDD等の可動部品を含むシステムは耐久性に問題が生ずるため,ソリッドステート化などの対策が必要であるこ・とが分かった。この意味では,昨年度開発した市販NAS装置の改造でも不十分なので,OSに組み込み系Linuxを採用しているブロードバンドルータの採用を試みた。OpenWrtというフリーの組み込み系Linuxディストリビューションに着目し,画像収集のためにUSBカメラを接続したシステムを開発した。このシステムをほぼ年間を通して高温なタイのチェンマイ大学農学部圃場に設置し,半年以上安定に稼動することを確認した。
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