研究課題/領域番号 |
18580248
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
三原 真智人 東京農業大学, 地域環境科学部, 教授 (00256645)
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研究分担者 |
岡澤 宏 東京農業大学, 地域環境科学部, 講師 (30385504)
山路 永司 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (10143405)
金子 綾 東京農業大学, 地域環境科学部, 助手 (90408675)
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キーワード | アジアモンスーン / 土地利用 / 物質収支 / 水環境 / 生態 |
研究概要 |
本研究では主として農業生産域における水文的に連続した土地利用方式による流域の水環境および生態系への影響について検討を行う。農業生産域における営農活動は生産域における土壌特性や生態系に大きな影響を与えるだけでなく、流域の水環境保全にも影響を与える。特にタイ国やマレーシア国のようなモンスーン気候に属する国々では、降水が農地を流下する間に有機物を含んだ土壌粒子や肥料成分を巻き込んで、著しく水質の悪化した表面流となることが報告されている。特に普通畑においては有機物を含む土壌や肥料成分の流出が著しくなり、水質汚濁の面源となりやすい。そこで本研究においては日本国内およびタイ国やマレーシア国のようなモンスーン気候に属する国々を対象として、第一に土壌、窒素やリン等の肥料成分、有機物の指標となる炭素における物質収支に基づいて、流域内の土地利用方式の評価を行い、第二に土地利用方式や営農管理が生態系へ与える影響について検討していく。第三に各土地利用方式における物質収支および生態系からみた具体的な保全対策について検討していく。特に土壌、肥料成分、炭素等の物質収支において、土地利用の中でも最も面源となっている普通畑からの流出負荷を低減する対策として、堆肥ペレット化技術にっいて検討していく。本年度に実施した研究概要は以下の通りである。 (1)調査対象地の選定と基礎調査:日本、タイ国、マレーシア国において調査対象地を選定し、自然的因子(地形、気候、土壌等)や社会的因子(土地利用、営農、経営等)に関する基礎調査を実施した。 (2)土地利用形態と河川水質との相互関連性の評価:日本国内の調査対象地(多摩川流域)において、土地利用形態と河川水質との相互関連性について検討を行った。その結果、河川水質には森林率が河川水質に大きく影響を及ぼしていることが明らかとなった。 (3)土壌動物の生物多様度に基づいた生態系の評価:本年度は特に土壌構造と土壌動物の多様度との相互関連性について検討した。中型土壌動物相における個体数と属数は粗間隙量に伴って増大する傾向が見られた。しかし多様度と粗間隙量との関連性は確認できなかった。 (4)捕捉能から見た植生の緩衝帯に関する検討:人工降雨装置を備えた模型斜面ライシメータを利用して、植被や植生帯等の緩衝帯の効果について評価した。 (5)堆肥ペレット化に関する検討:堆肥のペレット化は日本国内のみならず、タイ国やマレーシア国のようなスコールを有する国々において、水質汚濁の面源とされる普通畑からの肥料成分や炭素等の流出負荷を減少できる保全対策と期待される。堆肥と糖蜜等の接合材との適切な配合割合に基づいた堆肥ペレット化技術について検討した。
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