研究概要 |
北海道の馬鈴薯収穫は,ポテトハーベスターによる機械化が達成されている。しかし,実際には,ポテトハーベスターの選別コンベア上で人手による馬鈴薯正品と損傷品等や土塊との選別が行われている。本研究の目的は,選別コンベア上の土塊を画像処理技術により馬鈴薯と識別し,高精度に分離できるシステムの開発である。 平成18年度は,主としてマシンビジョンを利用した馬鈴薯と土塊の識別について研究を行った。 (1)カラーCCDカメラ,ハイパースペクトルカメラ,紫外線カメラの3種類のマシンビジョンシステムを利用した馬鈴薯と土塊の識別について検討した(黒色紙を背景として使用)。 RGBカラー画像を用いた場合,馬鈴薯が湿っている色の濃い状態では約90%の精度で,馬鈴薯と土塊を識別できた。しかし,表面が乾いて白っぽく見える状態では60%まで識別精度は低下した。ただし,カラーCCDカメラを使用した場合,腐れイモあるいは青イモを認識できる可能性が示された。 ハイパースペクトル画像では,馬鈴薯が土中から掘り起こされた直後のように湿った色をしている場合,約99%の精度で識別できた。この時,光源の影響はほとんどなかった。ハイパースペクトル画像解析から,馬鈴薯と土塊の識別のためには,540nmと760nmの2つの波長バンドの組み合わせが有効であると分かった。 紫外線画像では,300〜420nmのグレースケール画像に対して輝度レベル80の一定値で馬鈴薯と土塊を識別することができた。画像処理アルゴリズムという観点からは,紫外線画像を使うことが最も簡便であると結論付けられた。 (2)画像処理に適応する背景(コンベア)の検討 ポテトハーベスター上では,梯子状のコンベア上に馬鈴薯,土塊が乗ってくるため,現物に近い背景での識別が必要となる。このためのコンベアシステムを製作した。コンベアの速度は自由に設定できる。
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