研究概要 |
1.イチゴにおける鮮度評価 (1)傷の評価・検査 圧傷は果皮の内側で発生するため,肉眼で検出することは困難である。そこで,0〜3Nの力で傷を与えた熟度の異なるイチゴ(章姫)を供試して,傷を受けた直後から4日後までの分光画像(650〜1,000nm,5nm間隔)を分析の結果,825nmと980nmに特徴があることが判った。評価はニューラルネットワーク法が優れていたが,実用的には二波長による差分法が有用的であることを示唆した。 (2)硬度の評価・検査 熟度が増すと硬度は柔らかくなる。そこで,イチゴ(章姫)を用いて,650〜1100nmの範囲を5nm間隔で分光画像を取得し,各ピクセルの拡散反射光強度を求め,SPSSの変数増減法(MLR)で硬度(MPa)と相関の高い1〜3波長を選択し検量線を作成した。3波長による熟度(着色度)ごとの測定結果は,5分着色以上でR=0.786,SEP=0.350Mpaを得たことより,イチゴの硬度測定が分光画像から非破壊で計測可能であることを示唆した。 2.マンゴおよびモモにおける鮮度評価 (1)傷の評価・検査 マンゴやモモは完熟で収穫されるために傷を受けやすい。そこで,マンゴ(アーウィン)は0〜8Nの力で,モモ(川中島)は0〜6Nの力で傷を与えて,受傷直後の分光画像(650〜1,000nm,5nm間隔)を分析の結果,モモでは810nmと960nmの分光画像に傷の計測で有益な特徴があることを明らかにした。しかし,マンゴでは傷の特徴を促す波長は強くは認められなかった。 (2)糖度の評価・検査 糖度は果実類の甘さの指針である。マンゴ(アーウィン)およびモモ(一ノ宮)を用いて,650〜1100nmの範囲を2nm間隔で分光画像を取得し,糖度(Brix)と相関の高い1〜5波長を選択して検量線を作成した。5波長による熟度(着色度)ごとの結果は,マンゴでR=0.791,SEP=1.499Brix,モモでR=0.799,SEP=0.826Brixを得た。これより,糖度の測定が非破壊で計測可能となることを示唆した。 以上の結果,NIRハイパースペクトルイメージング法によって傷の検出,糖度の測定は適正な検出波長の分光画像を用いることにより,非破壊計測が可能であることを示唆した。
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