研究概要 |
Lactobacillus reuteriのglycerol dehydratase (GupCDE)は、グリセロールを代謝して3-ヒドロキシプロパンジオールを合成する。3-ヒドロキシプロパンジオールは可逆的に水和物や環状二量体となり、それらはロイテリンと総称され幅広い抗菌スペクトルを示す。我々は、L.reuteri JCM 1112^Tの染色体上にgupCDE遺伝子(2,933bp)を推定した。本研究では、その機能を明確にするために、L.reuteriのgupCDE遺伝子破壊株の作出を試みた。 GupCDEが機能しないよう、gupCとgupEの間にpIL253由来のエリスロマイシン耐性遺伝子を連結し、染色体上のgupCの前の配列とgupEの後ろの配列約2kbを含んむPCR産物を構築し、pBR322に組み込んだ。 その結果、L.reuteriでは複製できないプラスミド(7,812bp)を構築された。このプラスミドを用いてL.reuteriを形質転換し、エリスロマイシン耐性をマーカーにスクリーニングした。ゲノム配列から、 1)L.reuteriでは7,555bpの断片が増幅される 2)single cross-overの段階では、7,555bp、5,138bpおよび15,366bpのDNA断片が増幅される 3)double cross-overの起こった遺伝子破壊株では5,138bpの断片が増幅される プライマーを設計した。その結果、5,138bp断片が増幅された形質転換体は、ロイテリンを産生しなかった。そして、L.reuteri(親株)とgupCDE遺伝子破壊株のそれぞれの培養上清(pH7.0に調整)について、Escherichia coli 0157およびStaphylococcus aureusに対する増殖抑制試験を行ったところ、gupCDE遺伝子破壊株の場合は、生育抑制がまったく認められなかった。
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