研究課題
基盤研究(C)
本研究は、組織工学的手法によって生体外で再構築した三次元の子宮内膜様構造体(子宮内膜スフェロイド)と脱出胚盤胞期胚との相互作用を解析する事から、着床・胎盤形成の生体外解析モデルを開発する事を目的としている。平成18年度は、脱出胚盤胞期胚を効率的に回収する系を確立するとともに、子宮内膜スフェロイドの特性解析および脱出胚盤胞期胚との接着条件についての検討を行う計画であった。自然排卵・交配後5日目に子宮より回収された胚盤胞期胚は10個ほどであった。一方、eCGとhCGCを用いた過排卵処理を行うと、胚盤胞期胚は回収できなかったものの、交配後3日目に卵管より4細胞期胚が40〜50個回収することが可能であった。これらの胚はほとんどが培養後胚盤胞期まで発生した。このことから、過排卵処理後に卵管より4細胞期胚を回収し、さらに培養することによって最も効率的に胚盤胞期胚が得られることが明らかとなった。ラット子宮内膜間質細胞の生体外における脱落膜化誘起方法を調べた結果、形態的な変化とマーカー遺伝子の発現誘導から、db-cAMPとMPAによる処理が最も効果的である事が明らかとなった。子宮内膜スフェロイドの特性検索として、この方法を用いてスフェロイドの脱落膜化能を調べた。その結果、RT-PCRおよび免疫染色化学によって、db-cAMP+MPA処理によってスフェロイドのデスミンおよびdPRPの発現が誘導されることが示された。この結果は、子宮内膜スフェロイドが脱落膜化能を有しており、受精胚に反応して脱落膜化できる可能性を示すものである。脱出胚盤胞期胚とスフェロイドを共培養したところ、両者が接着しその後受精胚が内部に浸潤する事が確認された。平成19年度は、接着・浸潤過程の組織化学的検索を行うとともに、MMPを中心とした生化学的・分子生物学的な解析を行う。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (3件)
Reproduction, Fertility and Development (掲載決定)
Journal of reproduction and Development (in press)
Reproduction (in press)