研究課題/領域番号 |
18580288
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
谷口 和之 岩手大学, 農学部, 教授 (70148089)
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研究分担者 |
山本 欣郎 岩手大学, 農学部, 教授 (10252123)
谷口 和美 北里大学, 獣医畜産学部, 講師 (00171843)
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キーワード | 獣医学 / 脳・神経 / 細胞・組織 / 嗅覚 / フェロモン |
研究概要 |
本年度は脊椎動物のフェロモン受容系を系統発生学的に解明し、次年度にフェロモン系を介する視床下部・大脳辺縁系調節機構を解明するための基礎的データを収集することを目的とした。研究手法としては主にレクチン組織化学と免疫組織化学を用いた。また脊維動物の系純発生を下等なものからたどるため、魚類、両生類、爬虫類のフェロモン受容系を対象として解祈を行った。 魚類はヒラメの仲間のマツカワを材料として研究を行った。マツカワの鼻窩は孵化0日ですでに浅い陥没として存在し、孵化後42日で鼻窩に天井が形成され、鼻窩は鼻腔となった。嗅上皮は孵化後14日から細胞の分化が活発となり、免疫組織化学やレクチン組織化学に対する反応性は孵化後28日以降、次第に増強し、孵化後90日には成魚とほぼ同等の反応性を示すに至った。魚類の嗅覚受容器としては嗅上皮のみが存在するのでフェロモン受容細胞も嗅上皮に存在すると思われるが、今回の検索ではフェロモン受容細胞を特定すること出来なかった。しかし嗅上皮には線毛を持つ嗅細胞と微絨毛を持つ嗅細胞の2種類が存在した。 両生類ではアフリカツメガエルを材料として検索を行った。アフリカツメガエルの鼻腔には上憩室、中憩室、下憩室の区別があり、上憩室は嗅上皮、下憩室は鋤鼻上皮に被われ、中憩室は魚類の嗅上皮に類似した特殊な上皮に被われ、ここには線毛を持つ感覚細胞と微絨毛を持つ感覚細胞が混在していた。発生の過程をレタチン組識化学により検索すると、これら3種類の機能的分化は変態が完了してから次第に明確になっていくことが明らかになった。 爬虫類ではミシシッピーアカミミガメを材料として用いた。このカメの鼻腔は上憩室と下憩室からなり、上憩室は嗅上皮、下憩室は魚類の嗅上皮に類似した特殊な上皮に被われていた。鋤鼻器と考えられるような構造は存在しなかった。
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