ニワトリ生体成分由来のレプチン活性測定法の開発を目指し、CHO-K1細胞を用いてニワトリレプチン受容体(chLEPR)を安定して発現する細胞株(CHO-chLEPR)の樹立を行った。このCHO-chLEPRは抗chLEPRモノクローナル抗体に特異的に反応する分子量約180kDaのタンパク質が認められた。この細胞にSTAT応答配列を組み込んだルシフェラーゼ遺伝子を導入し、組換え型マウスレプチンに対する応答性について解析した結果、低濃度域でのレプチン応答性は弱いもののレプチン濃度の上昇に伴いルシフェラーゼ活性が上昇することが確認された。またこの細胞はレプチン刺激によりSTAT3のリン酸化が起こるほかJAK2阻害剤によるレプチン依存的なSTAT3のリン酸化とルシフェラーゼ活性の上昇を抑制した。またsiRNAによるchLEPRの発現抑制はレプチンによるルシフェラーゼ活性の上昇を抑制することを見いだした。これらの結果よりchLEPRはJAK-STATを介して情報伝達を行う機能受容体であることが明らかとなった。このレプチン活性測定システムを利用してニワトリ血清、肝臓及び脳抽出液中のレプチン様活性の有無を測定した。しかしながら、ニワトリ生体成分による刺激を細胞に与えても特異的なルシフェラーゼ活性の上昇は認められなかった。この結果は鳥類の生体内レプチンは非常に低濃度であり、本レプチン活性測定法では生体成分由来のレプチン様活性を検出できなかった可能性が示唆しており、従って今後chLEPR発現細胞で微量なレプチン活性を検出できるレポーター遺伝子を開発するために、レプチン応答遺伝子とそのプロモーター領域の解析を進める必要があると考えられる。
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