1羽の烏骨鶏と1羽の白色レグホーンとの間のゲノミックサブトラクションライブラリを、制限酵素がHindIIIでテスターが烏骨鶏のものとテスターが白色レグホーンのもの、および制限酵素がBamHIでテスターが白色レグホーンのもの、計3ライブラリを作成した。ゲノミックサブトラクションライブラリから合計115クローンについて末端シーケンスを行った結果、ゲノム上に重複のない8カ所の多型部位を特定できた。これらの部位にDNAマーカーを開発し、烏骨鶏51羽、日本在来鶏18羽、コマーシャル品種5羽についてタイピングを行ったが.烏骨鶏および他の鶏種ともに品種内の多型性が大きく、今のところ烏骨鶏特異的DNA領域を発見するには至っていない。 烏骨鶏などの就巣性を持つ鶏品種に特異的に見られると言われているプロラクチンのプロモータ領域の24bpの挿入について、烏骨鶏51羽、日本在来鶏18羽、コマーシャル品種5羽についてタイピングを行った結果・烏骨鶏は全て24bpの挿入をホモかヘテロで持っており、2羽の白色レグホーンは全て24bpの挿入を持っていなかった。 メラニン色素生成に関わる酵素であるチロシナーゼ(tyrosinase)とジヒドロキシインドルカルボン酸オキシダーゼ(TRP1)、およびドーパクロム・トウトメラーゼ(TRP2)について、烏骨鶏の成鶏とロードアイランドレッド×白色プリマスロックのF1の成鶏の各臓器から抽出したtotal RNAによるRT-PCRを実施したところ、チロシナーゼでは烏骨鶏で大腸、大脳、腎臓、浅胸筋と心臓で発現し、F1で大脳と心臓だけで発現していた。TRP1では烏骨鶏で大腸、大脳、腎臓、浅胸筋と心臓で発現し、F1で大腸、大脳、腎臓と心臓で発現しており、TRP2では烏骨鶏で肝臓、大腸、大脳と腎臓で発現し、F1において肝臓、大脳、腎臓、浅胸筋と心臓で発現した。
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