Aviadenovirus属は、12の血清型からなり鶏の封入体肝炎の原因ウイルスである事が知られている。鶏の封入体肝炎は、主たる病変が肝臓にあり、肝細胞に核内封入体形成をともなう肝炎が認められる疾患である。また、鶏の封人体肝炎の原因ウイルスは特定の血清型に限定されていない事が知られている。しかし、近年、ブロイラーにおいて、鶏アデノウイルス感染に起因する筋胃びらんが大量発生し問題になっている。症状の軽いものでは、出荷され解体された段階ではじめて筋胃びらんが見つかるが、重症例では、筋胃のびらんから多量の出血が認められ急性経過で死亡する。これらの筋胃びらん材料からは、血清型1または8の鶏アデノウイルスが分離されている。 前回(18年度)の報告で、鶏アデノウイルス血清型1(JM1/1)がVOPBA (Virus overlay protein blotting assays)法を用いることで筋胃に存在する約200kdaの蛋白に結合する事を明らかにした。今回は、この蛋白を粗精製し、本蛋白のモノクローナル抗体を作製し、200kdaの蛋白を認識するモノクローナル抗体を得られた。作製したモノクローナル抗体を用いて蛋白をアフィニティークロマトグラフィ法を用いて精製しMS/MS解析を行なった。蛋白質同定分析の結果、鶏アデノウイルス血清型1の結合する蛋白がMyosin11(Myosin heavy chain11)であることが明らかになった。今後、Myosin11と鶏アデノウイルスの病原性の関連を明らかにしていく。
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