研究概要 |
血液脳関門(BBB)のin vitroモデルを構築するにあたり、ヒト初代培養脳微小血管内皮細胞(BMECs)とヒト初代培養星状膠細胞の共培養をまず行った。Transwell filterの上面に2×10^5個のBMECsを、下面裏側に9×10^4個の星状膠細胞を接着させ培養を行い、膜間電気抵抗値(TEER値)の計測によってintegrityを評価したが、BMECsと星状膠細胞の増殖が非常に遅いため、安定した結果を得ることが困難であった。次に、Transwellの上面に2×10^5個のヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)を接着させ、単層培養を行ってintegrityを評価したところ、上述の共培養に比較して安定なTEER値が得られ、FITC標識デキストラン(MW70,000)の透過性も非常に低い値を示した。以上より、ウイルスの血管内皮細胞通過性を評価する系として、HUVEC単培養を使用したin vitroモデルは信頼性が高く、より適切であると考えられた。 pCMVベクター(Invitrogen)にWNV NY99 6LP株およびEg101株の構造遺伝子(C、PrM、E)のcDNAを組み込んだ発現プラスミドを作製した。WNV非構造蛋白遺伝子全長とその下流に緑色蛍光蛋白EGFP発現カセットを有するWNVレプリコン(テキサス大学医学部Peter Mason博士より分与)をBHK細胞に電気穿孔法によって導入し、24時間培養後に発現プラスミドのトランスフェクションを行い、さらに48時間培養後、上清中にVLPsの産生が確認された。VLPs感染細胞は緑色蛍光により容易に同定され、かつ子孫ウイルスの産生は認められない。このVLPsと上述のin vitroモデルを併用することにより、WNVの血管内皮通過様式を詳細に検索することが可能となった。
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