研究課題/領域番号 |
18580310
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
江下 優樹 大分大学, 医学部, 助教授 (10082223)
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研究分担者 |
牧野 芳大 大分大学, 医学部, 教授 (60039930)
松本 顕 九州大学, 高等教育開発推進センター, 助手 (40229539)
水谷 哲也 国立感染症研究所, ウイルス第一部, 主任研究官 (70281681)
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キーワード | ウイルス / 昆虫 / タンパク / プロテオーム / 感染症 |
研究概要 |
ウエストナイルウイルスは蚊媒介性のウイルスである。1999年にニューヨーク州で突発的に発生した本症の流行は、既に全米に拡大している。ニューヨークで分離された本ウイルスの病原性は、いわゆるアフリカで分離された株と異なり極めて強毒と考えられている。2005年に米国から帰国した旅行者が日本で本症感者として報じられた。このような状況が頻繁に起これば、日本の蚊が活動する夏に本症二次患者の発生が危惧される。しかし、日本の住宅周辺に生息する蚊がこのニューヨーク株ウエストナイルウイルスにどの程度の感受性と媒介能を示すかを調べたデータは極めて少ない。 本研究期間内に、ヒトおよび家畜の生活環境に密接した蚊種の本ウイルス感受性と媒介能を明らかにして、国内への本ウイルス侵入の際のリスク評価を行う。また、蚊のウイルス親和性要因についても免疫学的手法を用いて解析する。 初年度は、アカイエカ、ヒトスジシマカ、ヤマトヤブカに対する本ウイルスの感受性と媒介性を検討した。本ウイルスに対するこれら蚊種の感染率は、アルリカで分離されたウガンダ株ウエストナイルウイルスより高かったことかち、ニューヨーク株ウエストナイルウイルスと日本産蚊種との親和性が極めて高いことが推察された。また、この親和性の要因として、ウイルスと蚊細胞が接触する蚊中腸の蛋白解析を解析するために、個々の非感染蚊中腸を用いた二次元電気泳動を確立・解析した。雌と雄蚊の中腸では、その蛋白発現が異なり、雌蚊の蛋白スポットは、雌蚊で多く、また、発現量も高い傾向が観察された。これら蛋白スポットとウイルスとの関係を調べる手段として、ウイルスE蛋白抗体に対するイディオタイプ抗体および蚊中腸蛋白に対する抗体を作製した。次年度は、これら抗体を精製して、蚊中腸蛋白との親和性を二次元電気泳動とウエスタンブロットで解析する。
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