研究課題/領域番号 |
18580310
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
江下 優樹 大分大学, 医学部, 准教授 (10082223)
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研究分担者 |
牧野 芳大 大分大学, 医学部, 教授 (60039930)
松本 顕 九州大学, 高等教育開発推進センター, 助教 (40229539)
水谷 哲也 国立感染症研究所, ウイルス第一部, 主任研究官 (70281681)
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キーワード | ウイルス / 昆虫 / タンパク / プロテオーム / 感染症 |
研究概要 |
蚊媒介性のウエストナイルウィルスによって、1999年にニューヨーク州で突発的にウエストナイル熱患者が発生した後、2006年には、アラスカ州、ハワイ州、そしてプエルトリコを除く全米で患者が報告されるに至り、2008年4月現在カリフォルニア州でウイルス陽性の野鳥と蚊が既に報告されている。1999年以降、本ウイルスが原因と考えられる後遺症の脳炎患者が多発している。また、2005年に米国から帰国した日本人旅行者が本ウイルス抗体に陽性であった。日本の蚊が活動する夏期に本症二次患者の発生が危惧されるが、我が国に生息する蚊が本ウイルスにどの程度の媒介能を持っているかを調べたデータは多くない。本研究では、ヒトの生活環境に密接な蚊類の本ウイルス媒介能を明らかにすること、および、蚊の感受性がその中腸に起因していることから種々の抗体を用いた解析を計画した。現在までに、アカイエカ、ヒトスジシマカ、ヤマトヤブカに対する媒介能を検討して、経口感染で何れの蚊種もウイルス増殖が認められた。さらに、15℃の低温でも所定日数後に蚊からウイルスゲノムが検出された。また、日本の蚊は、ウガンダ株よりもニューヨーク株ウイルスのほうが増殖し易いく、親和性が高いと考えられた。この親和性に関連して、ウイルスを含む血液を経口摂食した蚊の中腸を用いて、個体毎にその蛋白解析を二次元電気泳動で解析した。その結果、感染蚊と非感染蚊では明らかに異なる蛋白スポットが認められた。これらの一部は、ウイルス抗体を用いたウエスタンブロットで検出されたことから、ウイルス由来の蛋白と考えられた。ウイルス抗体に対するイディオタイプ抗体および非感染の蚊中腸蛋白に対する抗体を作製したので、今後、これらの抗体を用いた免疫学的解析を予定している。
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