研究課題/領域番号 |
18580313
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北海道立衛生研究所 |
研究代表者 |
八木 欣平 北海道立衛生研究所, 感染症センター生物科学部, 衛生動物科長 (70414323)
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研究分担者 |
加藤 芳伸 北海道立衛生研究所, 遺伝子工学科長 (00414326)
松本 淳 北海道大学, (連合)獣医学研究科, 学術研究員 (70296169)
鈴木 智宏 北海道立衛生研究所, 研究職員 (10414327)
後藤 明子 北海道立衛生研究所, 研究職員 (60414322)
奥 佑三郎 北海道大学, (連合)獣医学研究科, 助教授 (60133716)
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キーワード | エキノコックス症 / イヌ / 成虫 / cDNAライブラリー / 血清診断 / ワクチン |
研究概要 |
北海道のエキノコックス症は、住民の健康への脅威となっている。多包条虫にとってイヌは好適な終宿主動物であり、人との密接な関わりから重要な感染源と考えられる。エキノコックス症における・イヌ対策は、その重要性にもかかわらず、感染の危険性から、実験的研究は制約があり、十分に検討されているとはいえない。我々は新たなエキノコックス対策法を構築するために、北海道立衛生研究所の特殊感染実験施設を用いて、本研究を開始した。初年度はイヌの診断、治療、予防等のエキノコックス症対策に有用なタンパク抗原の探索を目的に、多包条虫成虫からcDNAライブラリーの作製を行い、このcDNAライブラリーから、血清診断や感染防御に有用な抗原遺伝子のクローニングを試みた。 継代維持している根室株多包条虫の原頭節をビーグル犬に経口投与し、成虫まで発育させ、mRNAを抽出し、これを鋳型にしてcDNAを合成した。cDNA組換えファージライブラリーを構築後、ランダムクローニングにより得られたコロニーから、プラスミドDNAを調製した。これらのcDNAの塩基配列を決定し、GeneBankのBLASTを用いて解析した。解析した501個のクローンのうち、既知遺伝子に類似性が認められる遺伝子を持つクローンは298個で、残りは類似性を認めなかった。これらのクローンのうちシグナル配列を持つ分泌・膜結合型の新規遺伝子emY162に着目し、感染終宿主動物の血清がこの蛋白に対して反応することを予測した。そこで、このクローンを用いて組換え蛋白を作製、多包条虫を感染させた犬の血清とウエスタンブロッティングを行ったところ、反応を認めた。 多包条虫の寄生により、犬などの終宿主動物の血清中の特異抗体が上昇することが報告されている。これらの抗体を誘導する抗原は、終宿主動物の血清診断の抗原蛋白やワクチン候補として最も重要である。次年度はこの蛋白について実験動物を用いた検討を加えるとともに、他の遺伝子についても検討を加える。
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