研究課題/領域番号 |
18580316
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
日笠 喜朗 鳥取大学, 農学部, 教授 (30165071)
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研究分担者 |
松田 浩珍 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 教授 (80145820)
佐藤 耕太 北海道大学, 獣医学部, 助教授 (50283974)
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キーワード | 血小板 / 薬物受容体 / イミダゾリン / 細胞膜 / アドレナリン / ノルエピネフリン / ウシ / ウマ |
研究概要 |
本年度では、ウシおよびウマの血小板上のイミダゾリン受容体(IR)、α2-アドレナリン受容体(α_2R)の存在とそのサブタイプおよびそれを介する情報伝達経路の一端を明らかにすることを目的としてラジオレセプターアッセイ研究を実施した結果、以下の知見を得た。1)ウシにおける血小板膜受容体の飽和実験において、α_2Rに対する標識薬物の特異結合は認められなかった。しかし、ノルエピネフリン存在下での標識薬物飽和実験から非アドレナリン受容体結合部位の存在が確認された。I_1R選択的標識薬物の結合置換実験において高親和性と低親和性の二相性の置換曲線を示し、親和性はGuanabenz≧oxymetazoline>moxonidine>>idazoxanの順位を示した。I_2R選択的標識薬物の結合は1-site結合性の置換曲線を示し、その親和性はOxymetazoline>guanabenz≧clonidine>moxonidineの順位を示した。このことから、ウシ血小板にはα_2Rがなく、IRの存在が示された。ウシIRには、薬物親和性の違いから2つのサブタイプ(I_1RとI_2R)の存在が示唆された。2)ウマにおける血小板膜についてもウシと同様な実験を行ったところ、ウマ血小板にはウシと同様にα_2Rがなく、IRの存在が示された。ウマIRには、薬物親和性の違いから2つのサブタイプ(I_1RとI_2R)の存在が示唆された。ウマの血小板IR数はイヌとネコに比べ多く、ウマのI_2R数はウシに比べ多かった。3)次いで、α_2Rが存在しないウシ血小板を用いて、IRにおけるGTP結合蛋白質への関与についての検討を行った。I_1RではGTP、GTPγS、Gpp(NH)pの添加群全てにおいて、対照群と比較して高親和性領域のI_1Rに対する薬物親和性が有意に低下した。I_2Rでは、GTP、GTPγSの添加群全てにおいて、対照群と比較してI_2-Rに対する薬物親和性に有意差は見られなかった。このことから、I_1RはGTP結合蛋白質に共役している可能性が高く、I_2RはGTP結合蛋白質に関与していないと考えられた。今後さらにI-Rを介する血小板情報伝達経路の解析を進め、血小板活性化機構におけるIRの役割を明らかにしていく予定である。
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