研究課題/領域番号 |
18580317
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
中市 統三 山口大学, 農学部, 教授 (60243630)
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研究分担者 |
奥田 優 山口大学, 農学部, 助教授 (10325243)
田浦 保穂 山口大学, 農学部, 教授 (80163153)
宇根 智 山口大学, 農学部, 助教授 (60294659)
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キーワード | 癌 / 肥満細胞腫 / 薬剤耐性 / P糖蛋白 / MDR1 / 臨床 / 獣医学 |
研究概要 |
犬で臨床的に発生頻度が高い肥満細胞腫に由来する3種類の培養細胞(CoMS、LuMC、TiMC)において、MDR1遺伝子とその産物であるP糖蛋自(P-gp)の発現を、それぞれMDR1特異プライマーを用いたRT-PCR、P-gp特異抗体を用いたウエスタンブロット法によって検討した。さらにP-gpの薬物輸送ポンプとしての機能を、フローサイトメーターによるローダミン123排出試験によって評価した。 その結果、CoMS、LuMCの2種類の培養細胞でMDR1が発現しており、これらの細胞株ではP-gpの発現が認められた。しかしながらMDR1が発現していなかったTiMCでは、P-gpの発現は認められなかった。また、P-gpの機能的側面を評価するためにローダミン123排出試験を実施したところ、CoMSとLuMCの細胞内ローダミン123取込量は、P-gpの機能的阻害薬であるベラバミル(VER)の非存在下では低値を示したが、VERの存在下では高値を示した。一方、のTiMCの細胞内ローダミン123取込量は、VERの有無でほとんど変化せず、両条件において高値を示した。以上から、MDR1/P-gpが発現している培養細胞において、細胞内への薬物取り込みを阻害するP-gpが機能的に活動していることが分かった。 以上の結果より、MDR1/P-gpが獣医領域における造血器系腫瘍ですでに報告されているのと同様に、犬の肥満細胞腫においても発現している可能性が示され、さらにはこれらのP-gpが機能的であったことから、その抗癌剤耐性にも関与していることが示唆された。
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