研究課題
目的・背景: Dirofilaria immitis感染実験は好適宿主である犬にL3を感染させる実験系が主であるが、犬を供試し、L3から成熟成虫になるまでに数ケ月かかるなど、問題点がある。そこで実験動物として管理し易いマウスにD. immitis成虫を移植し、短期間でのミクロフィラリア(Mf)や抗原の検出の可能性を確認した。方法:マウスは4〜5週齢の雄のICRマウスを用いた。D. immitis成虫は犬への人工感染24週後、29週後にそれぞれ摘出したものを用いた。マウス腹腔内にD. immitis成虫を雌雄別にそれぞれ移植した。移植3日後に移植成虫の状態の確認、Mfの有無、分離血清での抗原検出の確認を行った。Mfは腹腔内洗浄を行い、その洗浄液を鏡検することで確認した。抗原検出には市販の3種類の抗原検出キットを用いた。結果:腹腔内移植されたD. immitis成虫は一部被嚢化しているものはあったが全て生存していた。また、24週齢雌成虫移植マウスではMfは認められなかったが、29週齢雌成虫移植マウスでは全頭の腹腔洗浄液からMfが確認された。キットによる抗原検出検査では、雌成虫移植マウスで24週齢虫体、29週齢虫体ともに抗原が検出された。一方、雄成虫移植マウスでは24週齢虫体で検出されなかったが、29週齢虫体では抗原検出されるものもあった。考察:以上の結果から、マウスへのD. immitis成虫移植により、Mf、抗原ともに検出可能であることが確認された。また、雄成虫移植マウス血清から抗原が検出されたことから、雄成虫からも雌成虫と同様に抗原が放出されていることが考えられる。
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Journal of Parasitology 93
ページ: 432-434
Veterinary Parasitology 145
ページ: 186-189