研究概要 |
本年度は、樹状細胞を介した抗原特異的なT細胞の増殖および抑制について検討した。前年度は動物を用いた遅延型過敏反応を評価したが、それのみでは特異的なリンパ球増殖抑制が評価できないため、in vitroにおける評価系を確立した(Tamura, et. al. Journal of Veterinary Medical Science 2007)。このin vitroの評価系をもちい、T細胞の増殖あるいは抑制を引き起こす樹状細胞、すなわち悪性黒色腫抗原あるいはリンパ腫の抗原を負荷した樹状細胞におけるDC-HILの発現を検討した。その結果、T細胞の増殖抑制を引き起こす樹状細胞ではDC-HILの発現が高く、逆にT細胞の増殖を引き起こす樹状細胞では低い事が明らかとなった。従来の研究でDC-HILはT細胞の増殖抑制を引き起こす事を示してきた。従って本実験結果は樹状細胞を介した抗原特異的なT細胞の増殖および抑制の制御にDC-HILが密接にかかわっている事を示していると考えられた。
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