研究課題
基盤研究(C)
日本の麹菌醸造産業は、固体醗酵による大規模な高分子分解・変換産業である。我々は、麹菌による生分解性プラスチック(生プラ)の大規模分解リサイクル技術の開発過程でプラスチック分解に関わる固液界面の新規酵素反応機構を発見した。麹菌が生プラ分解時に分泌する界面活性蛋白質ハイドロフォビンRolAは、疎水固体表面に結合して構造が変化した後に酵素クチナーゼCutL1を界面にリクルートして生プラ分解を促進しており、界面での構造が反応に重要である。本反応は糸状菌の感染から固体醗酵にまで関わる基幹的な固液界面反応である。またRolA疎水固体表面に吸着した状態で、水平方向への可動性という新規の物理化学的性質を示す。本申請では、(1)RolAの固体表面への吸着部位と水平方向可動性を調べること、(2) RolAとCutL1の相互作用部位の探索と、を目的としている。本年度は(1)に関して研究を進めた。RolAのN-末端領域のHis32が、CutL1のリクルートに重要なアミノ酸であることを、部位特異的変異と、His32の化学修飾により明らかにした。またCutL1側の相互作用アミノ酸は、分子表面に存在するGlu., Aspなどの酸性アミノ酸のカルボキシル側鎖であることを化学修飾により明らかにした。さらに、RolAと疎水面との結合に関しても、前年度のRolA分割合成ペプチドとRolAのテフロン上への吸着競合試験結果から絞り込んだ部位の変異体を作出して解析した結果、Leu120,Leu125を含む領域であることを明らかにした。
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The Aspergilli : Genomics, Medical Applications, Biotechnology, and Research Methods/ Chapter 25
ページ: 428-438
The Aspergilli : Genomics, Medical Applications, Biotechnology and Research Methods (Stephen A. Osmani and Gustavo H. Goldman edts) Chapter 25
ページ: 425-438
Mycologia 162
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