研究概要 |
1)糸状菌Penicillum citrinum培養夜上清より分子量31.6kDaのキシラナーゼXynBを電気泳動的に単一に精製した。酵素活性の最適pHおよび温度は、それぞれ6.0および50℃であった。また、XynBはキシロビオースには作用せず、それ以上の重合度を持つキシロオリゴ糖に作用したことからエンドー1,4-β-キシラナーゼであることを明らかにした。その遺伝子xynBのORFは、9箇所のイントロンを含み、アミノ酸25残基のプレプロ分泌シグナルと302残基からなる推定分子量32,637Daの成熟酵素をコードした。XynBの推定アミノ酸配列は、近縁のPenicillium simplicissimum由来のキシラナーゼXynAと高い相同性(90%)を示した。 2)糸状菌Asperjillus japonicusの培養上清より分子量113kDaのβ-キシロシダーゼXylAを電気泳動的に単一に精製した。N-グリコシダーゼF処理により、その分子量は82.0kDaに低下した。その遺伝子xylAのORFは、イントロンを含まない2412bpから成り、17アミノ酸残基の分泌シグナルと787アミノ酸残基の成熟酵素(推定分子量84,637Da)をコードした。XylAには17箇所のN型糖鎖付加のためのコンセンサス配列、5'非コード領域には、5箇所のカタボライト抑制因子CreA結合可能部位や2箇所の転写誘導因子XlnR結合可能部位が存在した。XylAはAspergillus fumigatus由来のβ-キシロシダーゼXylAと高い相同性(69%)を示し、糖質加水分解酵素ファミリー3に属した。 3)A.japonicusの培養上清より分子量25.1 kDaのキシラナーゼを電気泳動的に単一に精製した。精製酵素のN末端およびV8プロテアーゼ消化ペプチド断片のアミノ酸配列は糸状菌由来の糖質加水分解酵素ファミリー11(GH11)のキシラナーゼと高い相同性を示した。内部アミノ酸配列およびGH11のコンセンサス配列を基に縮重プライマーを設計し、染色体DNAを鋳型としてPCRを行った。その結果、キシラナーゼをコードする遺伝子が2種存在し、A.japonicusの染色体上にそれぞれ1コピー存在する事が示唆された。両遺伝子をクローニングし、完全長ORFと周辺の塩基配列を決定した。
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