養豚業が盛んな地域では、ブタ糞便由来のリン酸化合物による水域の富栄養化が問題になることが多い。これらは、ブタ飼料中に含まれるリン酸化合物が未利用のまま糞便に排出されることから生じている。そこで本研究課題では、リン酸化合物を加水分解するフィターゼ遺伝子を利用し、遺伝子組換え技術を用いた安全かつ効果的な新しい技術開発を試みた。用いるフィターゼ遺伝子は、胃酸などの酸性条件下でも活性を保持する大腸菌由来の遺伝子を利用することにした。しかしながら、大腸菌からフィターゼ遺伝子をPCR 法によって増幅させることは容易に出来たが、この遺伝子を宿主細胞として再び大腸菌内にクローニングすることは困難であった。従って、このフィターゼ遺伝子をクローニングするには、異なる宿主細胞を用いるなど、相当な工夫が必要であることがわかった。
|