食生活や住環境において、カビ毒生産菌やアレルゲンとして有害糸状菌が環境リスク上問題となり、これら有害菌類の制御技術が求められている。そのため、閉鎖空間等で有効な揮発性の新規抗菌物質を生産する糸状菌の選抜を行い、新規に4菌株の揮発物質生産菌を選抜した。それらのうち、別種と考えられる3菌株から生産される揮発成分を解析したところ、いずれの菌株からもテトラヒドロフランが検出された。これらの結果より、揮発物質を生産して抗菌作用を示す糸状菌が様々な分類群にわたる菌株で複数存在していることが明らかとなった。また、その抗菌作用にはフラン化合物が関与していることが、世界的に見ても初めて明らかになった。既に選抜されていたIrpex lacteus(Kyu-W63)の生産するフラン化合物の一種であるペンチルフルフラールはアレルゲンなどの原因菌の生育を抑え、徐放剤に吸着させることにより長期抗菌活性を維持することが可能であり、製品化のための施用法が示唆された。
|