研究概要 |
本研究は、ストレス環境下において選択的に翻訳される血RNAを、マイクロアレイを用いてゲノムスケールで探索し、共通性という観点から制御を規定するコンセンサス配列を同定することを目的としている。 1.ポリソームプロファイル解析とDNAマイクロアレイ解析 (1)ストレス条件の検討(ポリソームプロファイル解析) 既に決定している熱ストレス条件に加え、塩・栄養飢餓ストレスに関してもシロイヌナズナ培養細胞(T87株)を様々なストレス条件にさらし、ポリソームプロファィル解析を行った。ハウスキーピング遺伝子mRNAの翻訳抑制(非ポリソーム画分への移行)状態を各画分から調製したmRNAを用いたRT-PCRによってモニターすることにより、最適なストレス条件(塩;NaCl 200mM 30min,飢餓;ショ糖を除いて5時間)を決定した。 (2)DNAマイクロアレイ解析(熱ストレス) 非ストレスおよび熱ストレス条件からポリソーム分画を行い、それぞれポリソームおよび非ポリソーム画分から独立に計4種類のmRNAを調製した。これらをセットで蛍光ラベルし、シロイヌナズナDNAマイクロアレイを用いてアレイ解析を行い、ポリソームと非ポリソーム画分に存在するmRNAの量比を、ストレスを与えたことによる変化という観点から定量し、複数の候補mRNAを得た。 2.候補mRNAのストレスにおける翻訳状態 候補mRNAの中には、熱ストレス条件下でも翻訳が抑制されないHsp90 mRNAに加えて、アルコール脱水素酵素をコードするADH mRNAがあった。予備実験のレベルであるが、塩ストレス時のこれらmRNAの翻訳状態を各画分から調製したmRNAを用いたRT-PCRによってモニターしたところ、これらmRNAは熱に加え塩ストレス条件下でも翻訳は抑制されなかった。
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