研究概要 |
1)3連続整列エビートープ配列(Synthetic Tripeptide Epitope Library, S-TREPLと略)の作製と、2)S-TREPLに対するマウス抗体イディオトープライブラリー(Antibody Idiotope Library,以下AIDLと略)をファージ提示型で実現する。ファージ提示型として、2- 1)H鎖とL鎖のV領域を提示した通常のscFv(single chain fragment of variable domain)型のAIDL(MHL-AIDLと略)、2-2)H鎖のみを提示したHalf-body型のAIDL(MH-AIDLと略)、及び2- 3)サメのH鎖 (Shark IgNAR, new antigen receptor)を提示したAIDL(SNAR-AIDLと略)を作製した。 1)S-TREPLの作製:S-TREPLは反応性の高いcysteineを除く19種類のFmoc-L-amino acid derivativesをN, N'-dliisopropylcarbadiinmideを用いて、 Tenta Gel S-NH_2上に固相合成した。結合の反応はninhidrinで確認した。脱保護にはReagent Kを用いた。総計220通りのS-TREPLを合成することができた (C-末端からHis・Pro-X, His・X(not Pro)・Met、 X(not His)-Pro・Met, Pro・Gln・X, Pro・X(not Gln)・Tyr, X(not Pro)-Gln・Tyr, Trp・Glu・X, Trp-X(not Glu)-His, X(not Trp)-Glu-His, Asp-Phe-X, Asp-X(not Phe)-Leu, X(not Asp)・Phe-Leu)。 2-1)MHL-AIDLの作製:8週齢のlpr/Aprの雄の脾臓より、抗体の可変領域遺伝子cDNAを調製し、H鎖用primerとkappa鎖用primerを用いて、増幅、V_H, V_Lを鋳型として、Sfil-V_H prinmer(forward), V_H・linker primer(reverse), V_L・linker(forward), V_L-prinmer-NotI(reverese)をprimerとして、アニーリング後、増幅し、それぞれの制限酵素で切断後、pCANTAB5・Eベクターに組み込んだ。 MHL-AIDLのサイズは10^5個/μg DNA vectorであり、ナイーブライブライーとして必要とされる10^8-10^9のサイズを得るためにはベクターが1-10mg必要であり、この数値は実用的ではないと判断した。現在、組み込みベクター1μg当たり10^6-10^7を目指す条件を検討している。2-1)MH-AIDLの作製:MHL-AIDLの作製法とほぼ同様な方法で、同一のベクターに組み込んだ。 MHL-AIDLの作製法との変更点はV_H-reverse primerの縮重配列であるライブラリーのサイズはDNA換算で、10^6個/μgDNA vector台であり、ナイーブライブライーとして必要とされる最小限度を満たしていると判断した。遺伝子導入を10回行えば、10^7オーダー台のMHL・AIDLが得られる。3)SNAR・AIDLの作製:イヌザメ3匹の脾臓、肝臓、血液より、mRNA, cDNAを調製し、報告のあるネコザメに由来する抗体配列から縮重primerを設計し、PCRを試みたが、数回の試行で、PCRでの増幅は認められなかった。引き続き、コンセンサス配列を定常域まで拡げて探し、抗体遺伝子の増幅を行う。
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