研究課題
基盤研究(C)
二方向伸長戦略によるオリゴ糖鎖の効率的合成実現に向け、まずシリルエーテルに対する糖供与体の反応性を調べた。五価のリンを中心元素とする各種脱離基を組み込んだベンゾイル保護糖供与体によるTMSエーテルのグリコシル化反応は、TMSOTf存在下0℃でいずれも円滑に進行し、対応するβ-グリコシドを良好な収率で与えた。一方、ジエチルホスファイトを組み込んだピバロイル保護糖供与体はシリルエーテルとは反応しない。そこで、本糖供与体により、6位水酸基をTBS基で保護した4位糖アルコールの化学選択的なグリコシル化を試みたところ、反応剤としてBF_3・OEt_2を用いると目的の二糖が収率75%で得られることが分かった。生成物の6位TBSエーテルはジフェニルホスファート糖供与体により直接グリコシル化可能であり、二工程で分岐型三糖を得ることができた。また、6位水酸基をTBDPS基で保護しジエチルボスファイトを組み込んだ糖供与体を用いることで、直鎖型三糖を二工程で得ることにも成功した。以上の結果を踏まえ、サポニン・シラシロシドE-1構成四糖の合成に着手した。2位、3位、4,6位水酸基をそれぞれピバロイル基、TBS基、ベンジリデンアセタールで保護したグルコシルジエチルホスファイトによるアラビノース2位アルコールのグリコシル化は塩化メチレン中0℃でBF_3・OEt_2を作用させることで進行し、β-グルコシドが収率80%で得られた。2位ピバロイル基を除去して得たアルコールに対する、ベンゾイル保護ラムノシルジエチルホスファイトによるグリコシル化は、塩化メチレン中-40℃でTBSOTfを作用させた場合に良好な結果を与えた。糖供与体としてベンゾイル保護グルコシルジフェニルホスファート、反応剤としてTMSOTfを用いて得られた三糖TBSエーテルのグリコシル化を行い、通算四工程で目的とする四糖の立体選択的な合成を完了した。
すべて 2008 2007 2006
すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (6件) 図書 (1件)
Tetrahedron: Asymmetry 19
ページ: 1059-1067
Chemistry-An Asian Journal 3(印刷中)
Tetrahedron: Asymmetry 19-9
Chemistry - An Asian Journal 3-9(In press)
ページ: doi:10.1002/asia.200800173
Handbook of Chemical Glycosylation: Advances in Stereoselectivity and Therapeutic Relevance, Wiley-VCH
ページ: 223-259
Organic Letters 9
ページ: 873-874
Organic Letters 9-5
Angewandte Chemie International Edition 45
ページ: 6532-6535
Chemistry-A European Journal 12
ページ: 8898-8925
Angewandte Chemie International Edition 45-39
Chemistry - A European Journal 12-35