研究課題
基盤研究(C)
糖類似アルカロイドが様々な糖加水分解酵素を阻害することから、それらの誘導体の合成が盛んに行われている。これまでの合成法は糖を中心とするキラルプール法が大部分であり、本課題である触媒的不斉合成を用いる方法論はあまり報告されていない。今回、5-ヒドロキシ-3ピペリデノールの炭酸エステル体を用いるパラジウム触媒的デラセミ化でアルカロイド合成の有用なキラル素子として期待される5-ヒドロキシ-3ピペリデノールの入手を検討した。種々検討した結果、不斉配位子としてTrost Ligandを用いるデラセミ化が極めて高収率、高い光学純度で進行することを見いだした。これまでの本化合物の入手は速度論的光学分割法であったので理論的の50%までしか一方の光学活性体を入手できなかったが本法により100%まで入手可能になった。次に、ブタジエンモノオキシドとノシルアリルアミンとのパラジウム触媒的不斉変換を検討した。中程度の光学純度(70〜80%)で目的のジオレフィン体を得ることができたが、位置異性体も副生する結果であった。そこでフタルイミドあるいはアリルグリシンから誘導されるオキサゾリジノン体のアミン求核種とブタジエンモノオキシドの上記触媒的不斉変換反応を行ったところ、目的のジアリル体がジアステロ選択的に得られた。さらに閉環メタセシスを経由してピロリジン体、ピペリジン体に導いた。現在、本化合物からα-アルキル置換糖類似アルカロイドへの変換を検討中である。
すべて 2007
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Adv. Syn. & Cat. 349
ページ: 685-693