研究概要 |
モノテルペノイド系インドールアルカロイド類に存在する3位キラル中心(β-カルボリンの1位に相当する)の立体選択的合成法を検討した、特に、多くのインドールアルカロイドの共通骨格である1位不斉1,2,3,4-テトラヒドローβ-カルボリンの一般的不斉合成法の開発を試み、L-プロリンとアセトンを用いた1位アセトニル化により、高収率、高立体選択的に1位付加体が生成することを見出した。また、アセトンに代えてメチルビニルケトンを用いることで、ヨヒンビン等の合成中間体として有用性が示されている4環性化合物を1段階かつ高立体選択的に合成することにも成功した。これらを合成素子として利用し、生理活性インドールアルカロイドの不斉合成経路を確立すべく、種々のアルカロイド合成を検討している。またイソキノリンに関しては、tol-BINAP等のリンニ座配位子で修飾した銅触媒を用いることにより、1-アリル付加体が80%程度のeeで得られることを見いだしていたが、更に、新規なDTBMSEGPHOS配位子を用いることにより、より良い結果が得られることを見いだした。これを利用して、強い生理作用が見いだされているが未だ合成例のない海洋天然物であるSchulzeine類の不斉全合成を検討している。更に、キラル配位子は鏡像異性体が入手できるため、種々のイソキノリンアルカロイドおよびその鏡像異性体の合成を計画した。また、Jacobsenによって報告されたチオウレアを活性中心とする有機触媒により、イソキノリンの1位シアノ化が立体選択的(90%ee)に進行することを見いだしたが、この反応をオリジナルの触媒で進行させるべく、新規なチオウレア触媒の合成を検討し、70%近いeeを示す新規触媒を見いだした。
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