研究概要 |
KK-A^yマウスに生薬チョウジのエタノール抽出エキスを0.5%添加した飼料を3週間自由摂取させたところ,血糖値の上昇を有意に抑制した.また,高脂肪食により6週間飼育したC57BL/6Jマウスにチョウジのエタノール抽出エキスを1%添加した飼料を4週間自由摂取させたところ,体重あたりの腹腔内脂肪量(%)は通常飼料を摂取した対照群に比べて有意(P<0.05)に低下した(対照群:1.73±0.73%,チョウジ添加群:0.79±0.15%).チョウジエタノール抽出エキスをポリスチレン系多孔質樹脂であるダイヤイオンHP-20(三菱化学社製)を充填したカラムにかけ,30%,50%,80%メタノール,メタノール,エタノール,酢酸エチルで順次極性を下げながら溶出させた.各画分について,PPARγリガンド活性を測定したところ,メタノールおよびエタノール溶出画分に強い活性が認められた(それぞれ30μg/mlにおける比発光強度は,0.5μMトログリタゾンにおける強度と同等かそれ以上であった).そこで,メタノールおよびエタノール溶出画分について,順相および逆相シリカゲルカラムクロマトグラフィー,分取HPLCにより分離・精製を行ったところ、フェニルプロパノイドのオイゲノール,リグナンのデヒドロジオイゲノールAとデヒドロジオイゲノールB,セスキテルペノイドの6,7-エポキシ-3(15)-カリオフィレン,植物ステロールのβ-シトステロールとそのモノグルコサイド,トリテルペノイドのオレアノール酸,ベツリン酸,マスリン酸,2α-ヒドロキシウルソール酸,アルジュノール酸アジアティック酸が単離された,これら化合物のPPARγリガンド活性を測定した結果,デヒドロジオイゲノールAとデヒドロジオイゲノールBに有意な活性が認められた.
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