研究概要 |
Reveromycin A(1)は放線菌Streptomyces sp.SN-593株より生産され、上皮増殖因子によるマイトジェン活性の阻害剤として単離された6,6-スピロケタール構造を有するポリケチド系抗生物質あり、spirofungin A(2)およびB(3)は抗真菌活性抗生物質として単離された6,6-スピロケタールである。1はイソロイシンtRNA synthetase阻害活性に基づく真核細胞選択的なタンパク質合成阻害活性、破骨細胞に対する強いアポトーシス誘導活性を有し、新しい抗腫瘍剤および骨疾患治療剤としての応用が期待されている。我々は既にこれら天然物の全合成に成功しているので、その合成法を基盤として本年度もより安定で且つ活性の増強を期待して誘導体の合成を行ない、活性を示す最小構造を探索した。また、1の最初の合成ではその三級アルコールのサクシネートの構築に超高圧法を用いたが、超高圧法では反応スケールや反応装置の維持に問題があった。そこで新しい構築法を考案した。すなわち、3-butyn-1-olより11行程で得られたラクトン由来のエノールトリフレーと有機亜鉛試薬から合成したジヒドロピランの酸化的開裂反応を行なうことにより、三級アルコールのサクシネートを構築するという新しい方法を見いだした。さらに、その三級アルコールのサクシネートとアルキンの反応を経由して6,6-スピロケタールへの変換も行なった。
|