研究概要 |
1.EGFRの自己リン酸化部位のアミノ酸配列を有するペプチドAc-DYQQD-NH2,Ac-NYQQN-NH2,Ac-ENAEYLR-NH2,Ac-QNAQYLR-NH2のドッキングシミュレーションによるEGFRへの結合部位の予測 EGFRの自己リン酸化抑制効果を示した表記オリゴペプチドのEGFRのキナーゼ領域への結合部位および結合様式を推測するために、ドッキングシミュレーション計算を行った。計算はUCSF DOCK Ver6.0で行った。スコア関数は剛体の蛋白に対してフレキシブルなペプチドを扱うGRIDスコア及び、蛋白とペプチドの両方がフレキシブルな状態を扱うAmberスコアでもってドッキングスコアを評価した。計算の結果、DYQQD及びQNAQYLRはATPi結合部位へ、NYQQN及びENAEYLRはEGFRの触媒部位とペプチドの主鎖、または側鎖の一部が相互作用することで、リン酸化反応を阻害していることが分かった。 2.EGFRの自己リン酸化部位のアミノ酸配列を有するペプチドAc-DYQQD-NH2,Ac-NYQQN-NH2,Ac-ENAEYLR-NH2,Ac-QNAQYLR-NH2によるEGFRの自己リン酸化抑制効果に対するATP濃度の影響 1.における計算の結果、DYQQD及びQNAQYLRはATP競合阻害剤であることが示唆された。これを実験的に確認するために、1.で用いた4種類のペプチドによるEGFRの自己リン酸化抑制能のATP濃度依存性を検討した。その結果、ドッキング計算の予測通り、DYQQDおよびQNAQYLRはEGFRの自己リン酸化抑制能についてATP濃度依存性を示したが、NYQQN及びENAEYLRはATP濃度依存性を示さなかった。
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