研究概要 |
本研究では,人工固体酵素としての金属ポルフィリン固定化担体の開発とその機能発現メカニズムの解明を目的にし,しかも,申請者が平成20年3月に退職するため,持てる技術の継承もおこなうことも目的のひとつである.そのため,下記に示す研究を行い,結果を得るとともに技術の伝承を行った. 1)ベタインについて,その赤外スペクトル測定法を検討し,標準スペクトルを得る方法を確立した. 2)ラマンスペクトルを用いて,各種錠剤について,主薬のみの結晶状態を見出す方法を確立した. 3)変異原物質であるHeterocyclic Aminesを酸化・無害化する反応で,Mn-およびFe-Tetrakis (4-carboxy)phenylporphine固定化シリカゲルが有効な人工固体触媒となることを見出した. 4)Mn^<3+>-octabromo-tetrakis (4-sulfbphenyl) porphineが過酸化脂質に対してペルオキシダーゼ様の触媒機能を持つことを見出した,また,この触媒機能は,中心金属であるマンガンイオンの酸化・還元のサイクルによることを明らかにした. 5)アドレナリンなどのカテコールアミン類に対してカテコールアミン酸化触媒機能をもつ人工触媒として,シリカゲルに固定化したマンガンポルフィリンを開発した.この場合も,触媒機能は,中心金属であるマンガンイオンの酸化・還元のサイクルに起因している可能性を示すことができた, 6)上記以外に,金属ポルフィリン固定化担体の新たな用途を開発するため,HPLC用充填剤としての可能性を検討した. 7)金属ポルフィリンの持つペルオキシダーゼを機能のメカニズムを,共鳴ラマンスペクトル方で解明するため,連続流れ方式でのセルなどを現在開発中である.
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