研究課題/領域番号 |
18590036
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 城西大学 |
研究代表者 |
杉林 堅次 城西大学, 薬学部, 教授 (00105834)
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研究分担者 |
藤堂 浩明 城西大学, 薬学部, 助手 (10383184)
石井 宏 城西大学, 薬学部, 助手 (90383182)
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キーワード | ナノスフェア / hydrophilic pathway / 皮膚透過性 / 経附属器官ルート |
研究概要 |
水溶性(log K_<o/w>が-3.5〜-0.29)で分子量が異なる(20〜40,000)薬物を選択し、in vitro及びin vivo皮膚透過・浸透性に及ぼす分子量の影響について、ヘアレスラット腹部摘出皮膚と三次元培養ヒト皮膚モデル(LsE-high)を用いて検討した。分子量約20〜318の薬物のLsE-high透過性はヘアレスラット皮膚透過性より約10倍高い値を示した。この結果は、これまでに我々が報告した低分子化合物の皮膚透過性結果と一致した。しかしながら、分子量約376〜512の水溶性薬物のLsE-high透過性は、分子量512の薬物を除きヘアレスラット透過性に比べて低いことがわかった。また、分子量がさらに大きい場合、LSE-high透過は認められなかった。 そこで、ヘアレスラット皮膚とLSE-highの水溶性薬物の透過経路の違いをより詳細に考察するため、D_2Oを用いた透過実験から皮膚中の見かけの拡散係数D_<akin>を算出した。その結果、LSE-high中でのD_<akin>は、ヘアレスラット皮膚中より10倍高い値を示し、これは皮膚中のhydrophilic pathwayの大きさに起因していることが示唆された。これらの結果より、分子量が300以下の薬物の皮膚透過性は、皮膚中のhydrophilic pathwayに影響を受けることがわかった。 一方、分子量300以上の薬物ではLsE-high透過性が急激に低下した。この結果から、分子量300以上の薬物ではhydrophilic pathwayより透過経路の大きい毛包等の付属器官ルートを介して透過する可能性が示唆された。 さらに、粒径500nmのナノスフェアの皮膚透過・浸透性について調べた結果、ナノスフェアの存在が毛包内部にのみ確認できた。これらの結果より、毛包等の付属器官は水溶性高分子およびナノスフェアの重要な浸透ルートであることが示唆された。
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