研究課題/領域番号 |
18590044
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
榎本 秀一 独立行政法人理化学研究所, メタロミクス研究ユニット, 研究ユニットリーダー (10271553)
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研究分担者 |
羽場 宏光 独立行政法人理化学研究所, 森田超重元素研究室, 専任研究員 (60360624)
本村 信治 独立行政法人理化学研究所, 分子プローブ動態応用研究チーム, 研究員 (20360654)
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キーワード | 銅代謝異常 / 金属欠乏症 / マルチトレーサー / 複数分子同時イメージング / スペシエーション |
研究概要 |
銅の先天的代謝異常症として知られるMenkes病(欠乏症)及びWilson病(過剰症)の病因は、ゴルジ体膜に局在する銅輸送ATPase(ATP7A、ATP7B)の異常である。脳神経系における昨今の研究についてみると、Menkes病モデル動物であるmacularマウスを用いた研究によって銅欠乏が中枢神経細胞の壊死とアポトーシスを引き起こすことが明らかにされたが、その詳細なメカニズムは未だ不明である。また、Wilson病における銅過剰が引き起こす中枢神経障害についても、カテコールアミン等の神経伝達物質の変動やICP-MSによる銅濃度の測定などの報告が見られるが、詳細な病態解析、分子生物学的研究はいまだに少ない現状にある。申請者はこれらの問題を詳細に検討するため、理化学研究所加速器により製造した多元素同時追跡マルチトレーサー法と67Cu、脳内マイクロダイアリシス法と高感度分析技術(ICP-MS、ICP-MS/HPLC、加速器質量分析、ESRなど)を多用し、銅の細胞内動態及び細胞間レベル、組織レベル、個体レベルでの動的挙動を解析・評価し、細胞の銅輸送の新たな担い手を探索し、臓器間(特に脳神経系)との銅のやり取りと疾病の進行、他の微量金属元素との相互作用などを総合的に解析している。本年度はモデル動物における金属管相互作用を調べるためCu、Mg、Znのそれぞれの欠乏状態における生体内ダイナミクスを検討し、世界で始めてそれぞれの動物における複数分子同時リアルタイムイメージングに成功した。現在、その解析を進めているが、銅代謝異常症の関連輸送蛋白質の分布が、それぞれの欠乏状態で異なることがイメージングできた。次年度、3次元イメージングかに向けて検討を行い、金属複合的な脳神経系のイメージングを成功させる。
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