研究概要 |
19年度は以下のような成果を得た。 ■トランスポーターのバイオフィルム形成における機能探索 前年度までに大腸菌のバイオフィルム形成株を用いてトランスポゾン挿入法により7種の新規バイオフィルム形成能低下株を得ており。そのうち6種においてone-step PCR法を用いて遺伝子欠損株を作成し、少なくとも3種の遺伝子についてはその欠損によってバイオフィルム形成能が50%以下になることを確認していた。当該遺伝子が本当にバイオフィルム形成に関与することを示すには相補性実験が必須であるが、推定トランスポーター欠損による低下株よりもより強力にバイオフィルム形成が低下するilvA欠損株においては、 ilvAだけでなくilvYも相補性に関与することが示された。 ilvYは、ilvAの下流に位置するが、ilvAの欠損により、転写終結が影響されたことが考えられる。この成果は日本生化学学会・分子生物学会で発表した。 ■蛋白質の局在をもとにした異物排出蛋白質の新機能の探索 acrB,macBなどの異物排出蛋白質をGFPと融合させ、実際に融合蛋白質の局在を蛍光を利用して調べたところ、GFP-MacBが大腸菌細胞の極に局在することが示された。さらにバイオフィルム形成株においても、バイオフィルム中でGFP-MacBが極に局在していることが示された。しかし、まだこの現象が本当に生理的に意味のある現象であるかわかっておらず、今後の課題である。この成果は大腸菌研究会と日本薬学会で発表した。
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