研究課題
基盤研究(C)
脂肪滴は細胞内における中性脂質貯蔵装置であり、脂肪滴形成は肥満、脂肪肝、動脈硬化などの生活習慣病の発症と関与している。本研究課題は、脂肪滴に存在する脂質代謝酵素に着目することで、脂肪滴の形成および消失のメカニズムを明らかにすることを目的としている。今年度の研究では、主に次の2っのことを明らかにした。1.脂肪滴消失系についての解析細胞内のアシルCoA合成酵素活性を阻害した場合に脂肪滴が退縮するが、今回の研究では、脂肪滴退縮過程にリパーゼなどの脂質代謝酵素が関与するか否かを調べた。オレイン酸存在下で1日培養することによって細胞内に脂肪滴を形成させた後、アシルCoA合成酵素の阻害剤であるtriacsin Cを添加してさらに培養を続けると、脂肪滴の消失がみられた。この際、triacsin Cの添加と同時に脂質加水分解酵素の阻害剤であるtetrahydrolipstatinも添加したところ、脂肪滴の消失は強く抑制された。したがって、脂肪滴の消失過程には脂質加水分解酵素が関与することが考えられた。2.脂肪滴形成系についての解析脂肪滴にアシルCoA合成酵素が存在することから、脂肪滴でアシルCoAが産生されるものと考えられたが、このアシルCoAが脂肪滴上で利用されうるか否かを調べた。単離した脂肪滴を^<14>C標識オレオイルCoAと反応させ、反応産物を薄層クロマトグラフィーで解析したところ、放射標識されたtriacylglycerolとcholesteryl esterの産生が検出され、脂肪滴が中性脂質合成能を有していることが明らかとなった。この結果から、脂肪滴上のアシルCoA合成酵素は脂肪酸を材料としてアシルCoAを供給し、それによって中性脂質合成が促されて脂肪滴形成が進行するものと考えられた。これらのメカニズムは脂肪滴形成の初期過程や脂肪滴の発達過程に寄与しているものと考えられる。
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Neuro Report (in press)
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