研究概要 |
TIS11ファミリー分子であるTIS11、TIS11bおよびTIS11dは、熱ストレスやエネルギー枯渇ストレスにおいてストレス顆粒へ移行したが、一方、酸化ストレスにおいてはストレス顆粒へ移行しないことが判明した。これらの知見から、TIS11ファミリー分子はストレスの種類に応じてストレス顆粒へ移行することが判明した。また、TIS11、TIS11bおよびTIS11dはいずれも分子内にzinc finger領域を有しており,zinc finger領域が熱ストレスやエネルギー枯渇ストレスにおけるストレス顆粒への移行に必要であることが判明した。一方、酸化ストレスでは、いずれのTIS11ファミリー分子も14-3-3蛋白質と結合し、zinc finger領域のストレス顆粒移行活性が抑制されることが示唆された。mRNA不安定化因子であるTIS11ファミリー分子は、zinc finger領域を介してストレス顆粒に蓄積されている未翻訳mRNAと結合し、ストレス顆粒に局在することが示唆された。さらに、mRNA不安定化能を有するTIS11ファミリー分子はストレス顆粒に蓄積されたmRNAの分解系に関与している可能性が示唆された。ストレス顆粒の形成は生体内のストレス防御機構の一つであると考えられているので、TIS11ファミリー分子は生体がストレスに曝された際に重要な防御分子として機能していることが示唆された。
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