研究課題/領域番号 |
18590087
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
荻田 喜代一 摂南大学, 薬学部, 教授 (90169219)
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研究分担者 |
米山 雅紀 摂南大学, 薬学部, 助手 (00411710)
杉山 千絵 摂南大学, 薬学部, 助手 (90388645)
米田 幸雄 金沢大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (50094454)
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キーワード | 神経細胞死 / 神経細胞新生 / トリメチルスズ / 嗅球 / 神経系前駆細胞 / ニューロスフェアー / BrdU取り込み / 脳室下帯 |
研究概要 |
【目的】成熟脳における神経系幹細胞が成熟神経細胞の「リザーバー」として脳傷害後の機能回復あるいは神経細胞機能維持に重要な役割を演じている可能性は十分に考えられる。しかしながら、神経変性疾患後の神経新生メカニズム及びその制御についてはほとんど解明されていないのが現状である。したがって、当該研究の目的は、「成熟動物脳の神経細胞傷害後の神経新生促進メカニズムの解明とその促進因子の探索・同定」である。 【結果・考察】5週齢ddY系雄性マウスにTMT(28mg/kg)を腹腔内投与し、一定期間後に灌流固定を行った。嗅球顆粒細胞および前嗅核細胞でぼ、TMT投与後それぞれ1日および2日目にssDNA陽性細胞の著明な増加がみられた。一方、嗅球へ神経細胞を供給する側脳室下帯やその移動経路であるrostral migratory stream (RMS)では、TMTによるssDNA陽性細胞の増加は観察されなかった。次いで、TMTによる嗅球内神経細胞傷害後の神経細胞新生について解析したところ、嗅球顆粒細胞層および前嗅核ではTMT投与後それぞれ1〜2日および3〜4日目にBrdU陽性細胞の著しい増加が認められた。一方、側脳室下帯およびRMSでのBrdU陽性細胞の増加はみられなかった。さらに、成熟神経細胞およびアストロサイトのマーカーであるそれぞれNeuNおよびglial fibrillary acidic proteinに対する抗体を用いた二重染色法によりBrdU陽性細胞の同定を行ったところ、前嗅核内のBrdU陽性細胞はアストロサイトであると同定されたが、嗅球穎粒細胞層ではBrdU陽性細胞のほとんどが神経系前駆細胞であると推察された。また、嗅球願粒細胞のBrdU陽性細胞は、28日後には成熟神経細胞に分化することも明らかとなった。次いで、成体マウスの嗅球から調整された神経系前駆細胞をneurosphere法により培養したところ、TMT投与2日後に調整した神経系前駆細胞が神経細胞への分化能をもつことが明らかとなった。
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