研究課題/領域番号 |
18590087
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
荻田 喜代一 摂南大学, 薬学部, 教授 (90169219)
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研究分担者 |
米山 雅紀 摂南大学, 薬学部, 講師 (00411710)
杉山 千絵 摂南大学, 薬学部, 助手 (90388645)
米田 幸雄 金沢大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (50094454)
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キーワード | 神経細胞死 / 神経細胞新生 / トリメチルスズ / NMDA受容体 / 神経系前駆細胞 / ニューロスフェアー / BrdU取り込み / 脳室下帯 |
研究概要 |
【目的】成熟脳における神経系幹細胞が成熟神経細胞の「リザーバー」として脳傷害後の機能回復あるいは神経細胞機能維持に重要な役割を演じている可能性は十分に考えられる。しかしながら、神経変性疾患後の神経新生メカニズム及びその制御についてはほとんど解明されていないのが現状である。本研究では神経細胞傷害後に遊離するグルタメイトのシグナルを中心に解析した。 【結果・考察】ddY雄性マウスにtrimethyltin(TMT,2.8mg/kg)投与2日後からBrdU,50mg/kgと同時にNMDA受容体アンタゴキストのMK-801、ifenprodil、SM31900を投与し、免疫組織化学法を行った。その結果、いずれのアンタゴニスト投与群でも対照群に比べて海馬歯状回顆粒細胞下帯のBrdU陽性細胞数に有意な減少が認められた。胎生15日齢マウス脳内海馬から得られたneurosphereの増殖に対するMK-801、ifenprodilおよびSM31900の添加効果を解析したところ、いずれのアンタゴニストも増殖を有意に抑制した。さらに、SM31900処置群において、neurosphrere assayを行った結果、対照群に比べてneurosphere数および大きさめ著しい減少が認められた。neurosphereを再分散後に得られた細胞にSM31900処置24時間後の細胞抽出液を用いて、抗α-fodrin抗体によるウエスタンプロッティング法を行った結果、calpain依存性の分解産物の減少が認められた。また、再分散して得られた細胞はcalpain阻害薬であるALLNおよびMDL処置により明らかなneurosphere形成の抑制が観察された。以上の結果より、海馬神経系前駆細胞の増殖は、NMDA受容体を介した細胞内シグナルにより調節される可能性が示唆される。
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