研究概要 |
PagLはサルモネラ菌(Salmonella enterica serovar Typhimurium)の外膜に局在する8回膜貫通型タンパク質であり、細胞外ドメインに4つのループ構造(L1〜L4ループ)を持つと予測されている。PagLの活性は外膜に表面電荷をプラスに変える作用を有するアミノアラビノース修飾型lipidAが存在すると抑制される。本研究ではこの活性抑制の現象を追求するために、種々の変異型PagLを作成して、それらの変異体がアミノアラビノース修飾型LPSによる活性抑制を受けるか否か検討した PagLのL1およびL3ループに存在するR43,R44,R135の陽電荷を有するアルギニン残基をアラニンに変えた場合にアミノアラビノース修飾型LPSによる活性抑制からの解除が強く起ることがわかった。一方、これらのアルギニン残基をリジンに変えてもアラニンに変えた場合と同様に活性抑制の解除がおこった。したがって単純に陽電荷があれば活性が抑制されるのではなくて、アミノ酸の構造や分極の程度が大切であることが示唆された。一方、これらのアミノ酸置換はPagLの脱アシル化活性そのものへの影響は認められなかった。以上の結果からアミノアラビノース修飾が存在すると抑制されるPagLの環境認識にかかわるアミノ酸残基が同定された。
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