研究概要 |
これまで様々な作用機構をもっ抗がん剤が開発されてきた.がん細胞と正常細胞の差を認識しない抗がん剤は副作用が重篤である.最近の分子標的薬、Gefitinib, Gleevecなどは小数の患者には劇的な効果を上げている.しかし、すぐに変異が起こり、薬の効力がなくなり、その変異に対応した薬を開発するという抗生物質と同じイタチゴッコが起こっている.そこで、変異が起こりにくいアロステリック部位に薬が強力に結合し、そのタンパク質のコンフォメーションを変化させることにより、酵素の働きを止めてしまえば、がん細胞が薬に対して生き残るために必死に変異を繰り返すことを気にしないで済むことになる. このような発想に基づいた論文はE.P.ReddyらのATP-非競合的BCR-ABL阻害剤およびATP-非競合的小分子阻害剤)と我々が開発したtopoisomerase阻害剤がある. このアロステリック効果はE.P.Reddyらと我々のtopoisomerase阻害剤を分子モデリング支援ソフトMOEでドッキングついて検討したところ、これら2つの阻害剤は活性中心から離れた部位で強く結合し、共通点が見出された.このことから活性中心とアロステリック部位のどちらに結合するかの予想が可能になった. ガロイル基と種々のヘテロ環を組合わせた20個の化合物を合成した.3種類のがん細胞を用いて増殖阻止を調べた.その中のいくつかは比較化合物、5FU, cis-platinよりもより弾い活性を示した.さらに他のヘテロ環、没食子酸、アミノ酸を用いた組合わせをデザインし、合成を試みている.
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