研究課題/領域番号 |
18590100
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
伊東 祐二 鹿児島大学, 工学部, 助教授 (60223195)
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研究分担者 |
杉村 和久 鹿児島大学, 工学部, 教授 (80127240)
阿邊山 和浩 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 客員助教授 (30284897)
橋口 周平 鹿児島大学, 工学部, 助手 (40295275)
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キーワード | 敗血症 / 抗体医薬 / HMGB-1 / 炎症 / 阻害剤 / ペプチド |
研究概要 |
全身性炎症症候群SIRSのうち重症度の高い疾患である敗血症(Sepsis)は、米国の統計においても、年間75万人が罹患し、そのうち約30%近くが死亡するという極めて璽篤な疾患である。これまでに、敗血症に対しての様々な治療法の確立が、緊急課題として世界中で試みられてきたが、未だ有効な治療法の確立には至っていない。 本研究の目的は、敗血症の治療薬開発を目標に、核内の炎症性サイトカインとして近年注目されているHMGB-1のアンタゴニストとして、既に我々が確立しているヒト抗体ファージライブラリから抗HMGB-1ヒト抗体を、またランダムペプチドファージライブラリからHMGB-1に対する阻害ペプチドを単離すること、さらには、それらの作用解析を基に、HMGB-1による炎症遷延、増悪、個体レベルでの致死性のメカニズムを明らかにすることで、敗血症に対する新たな治療戦略を考案することである。 本年度は、ヒト単鎖Fv抗体ファージライブラリからHMGB-1に対する特異的な単鎖Fv抗体クローンを2種単離した。これらのクローンのHMGB-1に対する特異的な結合活性は、ELISA並びに表面ブラズモン共鳴解析によって確認された。さらに興味深いことに、これらのクローンのうち1つは、大腸菌細胞内に機能を持った形で産生され、さらに単鎖2量体を形成していることがわかった。しかし、これらの抗体は、HMGB-1によるヒト単核球由来のTHP-1の炎症性サイトカインの分泌の抑制を行うことができず、むしろ1つのクローンは炎症性サイトカインの分泌を単独で促進した。この現象は非常に興味深いが、そのメカニズムは現在検討中である。 現在、さらにHMGB-1の炎症性サイトカインの分泌誘導を抑制する阻害性の抗体、ペプチドの単離を遂行中である。
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