研究概要 |
アルツハイマー病の治療薬としてヨーロッパで認可されているメマンチン(1-amino-3,5-dimethyladamantane)およびアマンタジン(1-aminoadamantane)に関して、その誘導体の合成並びに活性評価を行うことを主目的として研究を開始した。まず、アダマンタン骨格の1位にメチルアミノ基を導入した化合物を合成し、NMDA受容体リガンド結合測定法により活性を評価したところ、メマンチンの1/20程度の活性、アマンタジンの1/4程度の受容体結合活性があることを研究初年度に明らかとした。昨年度は、20種類ほどのアダマンタン骨格を持つメマンチン誘導体の合成を達成し、その活性評価を行ってきた。アダマンタン骨格の1位に導入したメチルアミノ基の末端アミノ基を修飾した場合はNMDA受容体リガンド結合測定法による活性は大幅に低下し、アダマンタン骨格の2位にメチルアミノ基を導入した場合やその末端アミノ基を修飾した場合にはNMDA受容体リガンド結合測定法による活性が非常に弱くなることも明らかとなった。 研究最終年度にあたる昨年度は、Grignard反応を用いたアダマンタン誘導体の合成手法を検討し、確立することに成功した。この手法を用いることで、誘導体合成法を確立できたといえよう。また、メマンチンの作用機序の検討も詳細に検討し、NMDA受容体への結合において、Ca^<2+>イオン濃度が重要な役割を果たしていることが明らかとなった。 新たに得られた知見を利用して、アダマンタン骨格をもつアルツハイマー病治療薬へと展開していきたい。
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